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今日のコーヒー自家焙煎: 美味しく煎るためには大きなコンロが必要?

美味しく煎るためには大きなコンロが必要?

最近ワイルド珈琲さんのみんなの声という掲示板を発見したので焙煎についてのQ&Aを読んでいます。これは非常に参考になるサイトです。しかし、書いてあることを鵜呑みにするのではなく、言っていることが何を意味しているのか洞察する態度が必要だと思います。

例えば「おいしく煎るための絶対条件がコンロですので、大きなコンロさえあれば、おいしいコーヒーは簡単に煎れます。」と言っているのですが、私はそうは思いません。絶対条件は言い過ぎでしょう。

直径の大きなコンロを使えば、加熱された空気の太い上昇気流を得られるので、有利なのは確かです。だからといって家庭用のガスコンロがダメなのかというと、全くそんなことはないです。

「手網み焙煎でおいしく煎るコツは網を熱がすっぽりと覆うことです。」とも言っているのですが、家庭用のガスコンロの10cm上に生豆200gを入れた直径16cmの手網がある状態を想像してみてください。加熱された空気の上昇気流は手網の空気抵抗によって横に曲がり、手網の側面に沿って再び上昇していくでしょう。これは手網を熱がすっぽりと覆っている状態です。

生豆200gが空気抵抗になっているという点がポイントです。200gも入ると、上から見た時に下の網は見えませんよね。だから空気抵抗が大きくなります。また、100gの場合と比べると手網の中の熱容量は2倍になります。仮に冷たい空気が網に入り込んだとしてもその影響による豆の温度変化は半分で済むことになります。

一般的に豆の量が少ない方が簡単に上手く煎れるように思われているようです。それは、豆の量が少ないから小さな手網を使える、豆を撹拌しやすい、手が疲れないといったことが要因なのではないでしょうか。豆の量が少ないということに本質があるとは思えません。豆の気持ちになって、むしろ逆ではないかと疑ってみることが必要です。

要は手網全体が炎から外れるような大きな振り方をしなければ良いのです。それでも「おいしく煎るための絶対条件がコンロです」とおっしゃる方には、では大きなコンロを使うとどういう焙煎温度プロファイルになるの? と言いたくなります。

 

炎の上空の温度は何度なの?

炎から10cmとか15cmとか言っていますが、そもそもそこの熱風の温度は何度なの? と疑問が湧いたので測定してみました。ガスの火力はいつもの通りやや強火にして、定規で高さを計りながら厚紙を炙って赤外線放射温度計で測定しました。測定法が妥当なのか分かりませんが、結果は次の通りです。

測定結果:

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なる程、位置による温度変化が大きいな! という印象です。これでは定規で測ったように正確に位置決めをしないと焙煎温度プロファイルを再現できないと思われます。こんな所に手網焙煎の難しさがあるのでしょう。

大火力のコンロを使うとどうなるかと想像すると、同じ350℃になる位置は例えば30cmとか高くなりますが、上下に5cmぶれた時の温度変化はずっと小さいでしょうね。恐らく温度変化は3分の1くらいになるのではないでしょうか。大火力のコンロを使うと焙煎が簡単になると言われる理由はこの辺にありそうです。

だからといって9000kのコンロを買ってくる? ・・・やってられないな(^^;;;