今日のコーヒー自家焙煎: ハンドピックの基準について考える
私はいつも生豆を200g計量して、欠点豆をハンドピックしてから手網で焙煎しています。さて、ハンドピックの基準というものはどういうものなのでしょうか? 聞き及ぶところでは、日本の自家焙煎的豆屋さんではかなり厳しく欠点豆を除去しているようですが、米国の西海岸あたりの今時風のカフェでの豆はかなりおおらかであるそうです。
自分でハンドピックしていると、いったい何処まで除去すれば良いのだろうか? と悩みますよね。そこで今日はハンドピックの基準について実践的に考えてみたいと思います。
欠点豆の種類
欠点豆をしばらく溜めておいたので、代表的な欠点豆の外観を見てください。
- お腐れ様: これは見るからに腐っています。色は黒っぽいです。飲むとヤバイ感じがします。
- カラ: 中身が無い! これは味にならないでしょう。
- 割れ: 何でこんなことになるの? まあ、見苦しいですよね。
- 変色: 腐りかけですかね?
- 虫食い: 虫が食うのですから旨いのかも? しかし見苦しい!
- 点食い: 虫が食ったけど、不味いから他に移ったのかしら?
- 未熟: こんなの採取するなよな!
まあ、いろいろある訳です。
ハンドピックの基準
ハンドピックあるいは欠点豆の除去の基準は立場によってかなり変わると思います。ちょっと考えてみると・・・
- 大手ロースター:
缶コーヒー用: 大量に液体を作り平準化されるからどうでもよい。
スーパー用: お腐れさんを除去できればよい。光学式機械? - 2nd, 3rd ウエーブ?: まあ、おおらからしいです。
- 自家焙煎店: 徹底的に欠点豆を除去する。これは、競合の他店から「あそこの豆はハンドピックが甘いんですよ・・・」と噂さされないために絶対に必要なことなのです。
- 家庭で焙煎: 売るわけではないですから、味に問題がなければOK!
例えばインドネシア・マンデリンG1ですと私は5%くらい除去しますが、自家焙煎店のプロは30%も除去するそうです。一言で言うと、スペシャリティの豆をさらにハンドピックしたくらいに選別する訳ですね・・・(^^;;;
まあ、最高の豆を販売する以上は最高の努力が必要なんですけど、家庭では美味しければそれで良いわけで、別の基準を見つける必要があると思います。
欠点豆を飲んでみた
自分のハンドピックが妥当なのかを判断するために、以下の方法で欠点豆を選別して飲んでみました。
- しばらく溜めておいた欠点豆が300gに達した。
- 比較的に良い物と悪いものを半分程度に分ける。
- 当然お腐れ様は遠慮いただく。
まあ、こんな感じで程度の悪いものを除いて150g程を焙煎して飲んでみました。お味は? と言いますと、やはりえぐ味が強いです。しかし、飲めないことはないです。
この実験から言えること:
- 今回の150g分の欠点豆が除去されなかったとしても、味への影響は微弱と思われる。(今回感じたエグ味が恐らく数十倍に薄まるので)
- 逆に言うと、現在のハンドピックの除去率で充分である。
まとめ
産地や規格、スタンダードとスペシャルティの区分によって、欠点豆の混入率はずいぶんと違います。スタンダードのイエメンマタリとかマンデリンG1などは欠点豆が多いです。これに対して、スペシャルティと名打ったものはさすがに欠点豆が少ないです。今回実験して思うのですが、スペシャルティ区分の豆はハンドピックしなくても充分なのではないでしょうか。
ブルボの豆を調達して欠点豆を探して喜んでいる向きがあるようですが、そういうのは相手にしない方が良いと思います。いかにも日本人らしいと言えますが、日本の一部の自家焙煎店の欠点豆に対するこだわりは、無意味なレベルに達しているような気がします。少なくとも生活のコーヒーというものは豆の見てくれではありません。